「そうにゃんのプチ冒険」七夕茶丸

 今日は、そうにゃんと相鉄線の乗客の皆さんとのなかよしイベントです。横浜を出発してしばらくすると相鉄線の車窓からは見慣れたセメント工場が見えます。
(今日は、快晴だにゃん。昨日の雨とかぜがうそみたいだにゃあ。)
気持ちがいいので、息をいっぱい吸い込みました。フーと息を吐き出したとき
「君っちが、うわさのしっぽがシマシマでたぬきに似ているって評判のそうにゃんかなミーア。」
のんびりしたちょっとしわがれた聞き覚えのないこえが耳元に聞こえたので飛び上がるくらいにびっくりしました。でも、そうにゃんの動きはとってもスローなので飛び上がったといっても3ミリメートルくらいです。頭に少し重みを感じます。実は、そうにゃんの頭はかなり大きいので、時々ハトさんとかが乗っかります。
「おれっちのことひょっとして知らないのかミーア。」
いきなりほんとに目の前にとがった鼻のいたずら小僧のような顔が現れたので、またまたびっくり仰天です。
(あれ・・・どこかで見たことのある顔だにゃあ。誰だっけにゃあ?ミーアっていうのへんな話し方するにゃあ・・・)
「藪から棒になんだにゃあ。頭の上に乗っかっちゃって失礼なやっちゃにゃあ。」
「ビックリさせてごめんミーア。おれっち、ミーアキャットのミーアじゃん。よろぴーく。」
どうやらミーアキャットのミーアは、語尾にミーアって付けるのがくせみたいです。
「ミーア君か。どっかで見たことあるにゃあと思ったけど、ズーラシアの人気者じゃん。突然現れて、にゃににゃん?」
「今日は、天気もいいからプチ冒険しないかミーア。」
「プチ冒険って?にゃにかあやしいにゃあ。急に冒険って言われても僕はイベントがあるから無理だにゃあ。」
「おれっちにまかせなさいって。楽しいからミーア。」
それからミーアは、喉をンゴロゴロンと鳴らすと・・・・・
 すごい突風が吹いてそうにゃんの身体は電車の外に舞い上がりました。
「にゃにがどうにゃっているにゃああん。助けてええ。」
どうやらそうにゃんは、何かの上に乗って空を飛んでいるようです。今まで乗っていた相鉄のヨコハマネイビーブルーの電車が下に見えます。そうにゃんはいつの間にか、頭でっかちのユルキャラっぽい身体からミーアと同じくらいの身長でコンパクトな体型に変身していました。電車の中には、そうにゃんの帽子と制服がもぬけの殻となって残っていました。
小さな女の子が、ママのスカートのすそをひっぱって
「そうにゃんが、消えた・・・」
口をポカンとあけて驚いています。
そうにゃんは、ほっぺに風をすごく感じています。
「空を飛んでいるみたいだけど、にゃんともにゃにがどうにゃっているんにゃあ?」
「驚いたかミーア。今さあ、ペリカンのペリーの背中の上。ペリーは、友達だからおらっちが、ンゴロゴロンと呼べば特急で来てくれるミーア。それから、きみっちはペリーに乗りなれていないから、気をつけないと落っこちて、あぶないよ!」
それでもそうにゃんは、何が起きているのか確認しようとちょっとだけ身を乗り出した。
「そうにゃん、やーーめっーーーろーーー」
ってミーアが叫んだときには、そうにゃんはまっさかさまに落下していました。
「助けてくれーにゃあああーーー。」
ありたっけの声で叫んだら、突然何かの袋のような物に包まれました。
「フガガガガアア・・・」
「もう大丈夫だミーア。ペリーの口の中にすっぽり納まったから超安全だミーア。そのままおとなしくしていればもうすぐ目的地に着くミーア。」
どうやらそうにゃんは、プチ冒険に出かける途中に落っこちてペリーの大きな口に救出されたようです。
(それにしても、電車はいつも乗っているから得意だけど、空を飛んで、落っこちてにゃんともブッタマゲーだにゃあ。ミーアって調子よすぎる感じで、プチ冒険って言ってたけど、これから先も心配だにゃあ。)
 目的地に着いたようです。着いたのは、二俣川駅と南万騎が原駅の間にある子供自然公園、地元では大池公園って呼んでいます。
「ミーアキャットってキャットだから、僕と同じ猫の仲間にゃのかにゃあ?」
「おれっちもそう思ったんだけど、ちょっと違うみたいだミーア。仲間は、南アフリカに住んでいるんだけどマングースの親戚みたいだミーア。そうにゃんは、猫、それともタヌキかい?」
「タヌキじゃにゃいよ。失礼だにゃあ。たまに間違えられるけど。まあゆるーい猫キャラって感じだにゃあ。」
「じゃあ、これからおれっちの自慢の秘密の基地を見せてあげるからついて来てミーア。」
ミーアは、枯葉をサササササーっと取り除いて現れた穴の中を進んでいきます。穴の中を進むにつれて、だんだん暗くなってミーアの姿もよく見えなくなってきました。
「ミーア、どこまで行くにゃあ。にゃーんにも見えにゃくにゃって、こわぃにゃあ。」
「だいじょーぶだーミーア。おらっちの尻尾持っていればだいじょーぶだー。」
そうにゃんは、ミーアの尻尾を持って穴の中を探検しました。ミーアが掘った穴は途中で分かれていて網の目のようにはりめぐらされているようです。土まみれになりながらしばらく進んでいくとようやく明るくなってきました。どうやら出口のようです。
ペリーが、のーんびりと大池を泳いでいます。ペリーが進んだあとの細かい波に夕日が反射してキラキラと微笑んでいるみたいですが、そうにゃんは少し寂しい気持ちにもなってきました。でも、新しい友達のミーアがいるので少しほっこりします。
ミーアは、手をぶらんと下げた得意のポーズで
「こうして夕日を見ていると、おらっちのご先祖様の記憶なのか遠いアフリカの見たことない夕日がダブってきて、すごく不思議な気持ちになるんだミーア。」
(そういえば、秋の夕日は胸を少しキュンとさせる力があるのはわかるにゃあ。)
そうにゃんとミーアは、まだ知り合ったばかりだから親友ではないけど、とってもいい友達になれそうです。
初めての屋外で過ごす夜になりました。ほらあなの中でも月の明かりでうっすらミーアの顔がうかびあがっています。夜空見上げると吸い込まれていきそうです。
「星がきれいだにゃあ。今日は、いろいろ冒険して楽しかったにゃあ.。」
ミーアからは、何も返事がありません。そうなんです。ミーアは、夜はからきっし弱いようで一瞬にしてばたんきゅーと寝ちゃったみたいです。そうにゃんも、いつもと違ったいろいろなことが起きた一日だったので、疲れていつの間にかミーアにぴったり寄り添って眠りました。
 夜はにがてですが、ミーアは、とっても早起きです。日の出に向かって得意の手ぶらりポーズ。そうにゃんもミーアにそっくりのポーズで朝日を浴びています。
「僕もついつい真似しちゃうようににゃったにゃあ。」
「そうにゃん。友達になったから、おれっちの得意な穴掘りの技を教えてあげるミーア。この辺が、初心者むきだな。穴掘りには。」
ミーアの穴掘りはすご技です。手の回転が速いのであっという間に身体がすっぽり入るくらいの穴がぽっかり開きました。
「そうにゃん。口を開けて見てないでおれっちみたいに穴掘ってみなミーア。超楽しいから。」
なにしろそうにゃんは動きがのろいのでミーアのようには速く掘れませんが、だんだんこつがわかってきたのかの身体がすっぽり入るくらいの穴があきました。
「土掘るの楽しいミーア。そうにゃんはもっと自然と友達になったほうがいいミーア。」
たしかに最近のそうにゃんは、アイドルみたいにイベントとかで忙しくて自然とふれあう時間がありませんでした。
「それでは、ここで問題だミーア。目の前に木があるミーア。何が隠れているかわかるかな?」
そうにゃんは、ジーと目を凝らして見ました。
「特に変わったことはにゃいけどにゃあ・・・にゃにかいるのかにゃあ?」
「よーく見てミーア。何も考えず心の目を使ってもいいから。」
「・・・・・・・・・・あーーーーーーーにゃんだにゃあああ。これにゃんだにゃあ。」
バッタのようだけどものすごく足が細長い昆虫が、本物の木の枝のようにほんとに見事にカクレンボしています。
「ナナフシモドキって名前だよ。不思議だろ。自然には身を守るためにいろんな風に忍者みたいに紛れ込んでカクレンボしている虫がいっぱいいるんだミーア。バッタ、蝶、蝉、みんな敵に食べられないように、ほんとに感心するくらい上手にカクレンボしているんだミーア。」
(自然はほんとニャニャフシモドキだけに七不思議だにゃあ。これまで気づかにゃかったにゃあ。)
 周りの不思議な虫君を探していたらキジバト君がやって来ました。
「キジバトのポッポちゃんだよ。街のいろいろなニュースをおれっちに届けてくれるんだミーア。何か事件があったのかな?」
「そうにゃん、、たいへんな騒ぎになってるッポ。きのう、相鉄の電車の中で帽子と制服を残して消えたッポ。誘拐?神かくし?それともイルージョンか?相鉄の人が目撃情報求むって大騒ぎになってるッポ。ミーア君に知らせなきゃと思って来てみたら、そうにゃんがちゃっかしいるから、驚きが百倍になったッポ。」
ポッポちゃんは、いつもの丸い目を豆鉄砲を食らったようにもっと大きくして首を上下に振りながら知らせてくれました。
「そんな大騒ぎににゃってるなんて、どうすればいいかにゃあ。そろそろ帰らにゃいと、みんにゃに心配させて迷惑がかかるかにゃあ・・・・」
すると突然、あんなに晴れていたに空に真っ黒な雲が広がって、どしゃぶりの雨が降ってきました。ポッポちゃんは、大急ぎで樹の葉っぱ中に、そうにゃんとミーアも横穴で雨宿りです。
しばらくすると、さっきの雨がウソみたいな青い空。それにとっても鮮やかな虹も現れました。大きな虹は、二俣川駅まで延びているようです。
「そうにゃん、君っちは人気者だからみんながとても心配しているミーア。そろそろ帰った方がいいミーア。ちょうど虹が出ているから乗っかって帰ちゃう?」
「そんにゃことできるのかにゃあ?」
「おまじないの言葉があるミーア。ソオオオニャンンンミーアミーア!」
それから喉をンゴロゴロンと鳴らすと
あーら不思議なことにそうにゃんとミーアは、虹の上をスルスルスルーとまるでローラーのすべり台のように進んでいます。ペリーも後ろから飛んでます。電車に乗ったようにあっという間に二俣川駅のホームに到着しました。そうにゃんはいつの間にかもとのユルキャラっぽい身体にもどっていました。
「じゃあおらっちは帰るけど、今度は友達いっぱい紹介するから、また冒険しようミーア。」
ミーアが、ペリーの背中に乗って飛びながら言いました。
 突然そうにゃんが土まみれになって現れたので二俣川駅は大騒ぎです。数日間は、どこで何していたのか?なんで泥だらけだったのか?いろんな人や猫が、そうにゃんに質問してきました。でもそうにゃんは、秘密の思い出を誰にも話していません。
 それから最近のそうにゃんは、少し変だといううわさがあります。
太陽に向かって手をだらんと下げてついつい日向ぼっこをします。たまにお尻座りで。
この前なんか小さな女の子に
「そうにゃん、なんだかミーアキャットに似てきてない。」
って言われると、ホッペがいつもより赤くなりました。
(はずかしいにゃあ。だけどこの前のプチ冒険は、とっても楽しかったにゃあ。また、ミーアとプチ冒険したいにゃあ。今度は、大騒ぎににゃらにゃいように、みんにゃに知らせてから出かけるからにゃあ。)
そうにゃんは、ミーアと再びプチ冒険に出かけるのをとても楽しみにしています。

著者

七夕茶丸