「相模鉄道で孫と行きたい沿線周辺地」伊藤石魚

学生時代以降、海老名駅から通学、通勤に相模鉄道を利用してきたが、会社をリタイア後、4歳の孫の賢治が鉄道大好きで、今度は孫に付き合ってしょっちゅう相模鉄道に乗っている。
電車に乗ったら、普通は降りる駅の改札口に近いところに止まる車両に乗るものだが、孫と電車に乗ると、先頭車両に行き、乗務員室の後ろから進行方向を眺めることにしている。しかし、孫の背が低いので、私がしゃがんで孫を私の膝の上に立たせて前方を見ている。
先頭車両に乗らない時は、孫は席に座らず、ドアの近くで立っている。ドアの近くは危険なので、手すりに掴まらせ、私が傍らに立つことにしているが、孫はドアの開閉に興味深々のようだ。音に関心があり、ドアの開閉時に鳴るチャイムの音ピンポンが車両の型に拠って鳴らないものから3回鳴るものまで4種類あると孫が言う。本当かどうかはわからない。
その他、ドアの開閉時に起きる音が車両により異なることも理解していて 、好きな音がしない電車に乗るのは嫌だと言われることもある。
孫は電車に乗ってどこかへ行くという意識はなく、ただ電車に乗っているだけで 楽しいらしいが、どこかで降りざるを得ないので、孫の好物のチキンナゲットが食べられる駅近くのファーストフード店で食事をすることを条件に電車を降りる。 しかし、そのまま改札口に行くのではなく、降りたホームで、乗っていた電車が出発し見えなくなるまで、見送るのだ。
それから漸くその場を離れ、改札を出て、時にはバスにも乗って、駅周辺を散策することにしている。
私が嘗て行ったことのある場所で、今後孫と行ってみたいところを季節ごとに次に挙げてみる。
●冬は嘗て素晴らしい眺望だった相模国分寺跡
海老名駅 東口ロータリーを左に回り、ビナウォークの店舗に沿って歩道を東に直進し、国分
坂下北の信号のある十字路を渡り、車の通れない細い、くねった坂道を上り詰め、左折し、間もなく、海老名駅から徒歩約15分で相模国分寺跡に着く。
小高い丘の上にあり、今は一面芝生の広場になっている。東西約240 ㍍南北約300㍍の広い敷地には東に金堂、西に七重塔、北には講堂を配置、金堂と塔を回廊と築地塀で囲むという奈良の法隆寺と同じ伽藍配置を採っており、その規模は全国で現在確認されている67ヶ所国分寺の中でも最大級のものだと言われている。
国分寺は741年、聖武天皇の 詔によって当時の国ごとに建てられた。いづれの地も寺の建立にふさわしい地理的条件をクリアした場所と言われている。
現在、周辺は宅地開発され、住宅、ビルが林立しているが、当時、高台の相模国分寺からの眺望は素晴らしく、金堂、七重塔のラインの延長線上、西に広がる田園と原野、その中に 流れる相模川、その先に聳える雨降山とも呼ばれる古くから信仰の対象だった大山、丹沢山塊など大パノラマが広がっていたと思われる。特に冬、雪に覆われた大山、丹沢山塊ほど雄大なものはなかったと思われる。
●春は 米海軍厚木基地でのお祭り
毎年春に米海軍厚木基地で、「日米親善春 まつり」が開催されている。今年は4月29日に開かれた。相模鉄道海老名駅から2つめのさがみ野駅で下車し、南口前の道路を左方向に歩き、信号の東柏ヶ谷十字路を右折し、道なりを進み、東名高速道路上の橋を渡り、暫く行くと、
二股道路があり、左へ進むと間もなく、駅から徒歩約20分で、基地正門に着く。
途中、道路に沿って所どころに店舗があるが、意外にも英語表示の看板は殆どない。
基地正門ではテロ警戒で、身分証明書の提示が必要だが、本籍記載のあるものが必要。運転免許証のみでは不可で本籍記載の住民票が必要。パスポートあるいはマイナンバーカードならそれだけで大丈夫。本人確認手続のため、かなり長い行列ができ、正門に入るのに小1時間はかかった。
正門を入ると、かなり広い舗装された道路が真っ直ぐに続いている。道路の両側には綺麗に剪定された樹木が並んでいる。いろいろな種類の木々が植えられいるなと周りを見ながら歩いて行くと、道路の真ん中にイラストが描かれた大型ヘリコプターが置かれ、自由に触ることができる。
道路から樹木の間を抜けると、芝生の広場があり、ブースが並び、米兵が売り子になって、アメリカのティーシャツ、帽子、時計、ワッペンなどが売られている。ホットドッグ、フライドチキンなどのアメリカンフードもある。
圧巻は飛行場の滑走路にズラーと並ぶ各種の戦闘機、哨戒機、輸送機等の飛行機群、各種ヘリコプター。1機ごとに説明役の米兵が付き、カメラのモデルになってくれる。
その他、舞台が設けられ、賑やかにロックなどのライブコンサートも実施された。1日充分楽しめる。
ところで、基地は綾瀬市と大和市に跨る広大な敷地だが、なぜ厚木基地なのか。厚木の名が付いた理由には諸説あるらしいが、近隣地域に江戸時代から大山詣での街道筋で賑わっていた宿場町の厚木宿から採ったという説が有力である。
●夏は涼しいよこはま動物園ズーラシア
海老名駅から9つめ、各駅停車駅の鶴ヶ峰で下車。急行で行く場合には、二俣川で乗り換えた
次の駅。駅北口から歩いて4分のバスターミナルでバスに乗る。駅からバスターミナルまで曲がりくねった路地を行かねばならないが、道路の角ごとに案内標識が立てられているので、間違いなく行くことができる。
バスは相鉄バスで終点ズーラシアまで15分。頻繁にバスは出ているが、曜日に関係なく、結構乗客は満員に近い状況。小さな子供から高齢者までバスに乗っている。世の中高齢化社会と言われているが、動物園も高齢者で一杯なのか。
よこはま動物園ズーラシアは平成11年に、元々丘陵、森林であった所をそのままの自然を生かす形で動物園にしたもの。地形の変化を利用して動物の生息地域ごとに、アジアの熱帯林、亜寒帯の森等8つのエリアに分けている。
林が多いせいか、バスの中で、おばあちゃんが隣の人に話していたが、孫とズーラシアに行った時、孫は林の中でどんぐりを拾うのに夢中だったそうだ。
このように至るところに樹木による日陰が出来ており、広場に隣接の数ヶ所の休憩場所にはドライミストによるひんやりポイントが設置されている。
季節によって様々なイベントが実施されているが、夏にはインド象のスプラッシュタイムがある。2頭のインド象が池で水浴びしたり、飼育員が少し離れた所からホースで放水すると、象が大きな口を開けて、その水を飲んだりする。象は1回あたり、10㍑の 水を飲み、1日に100㍑~
200㍑も飲むそうだ。最大のショウは鼻から入れた水を空に向かって吹き出し、まるでミスト噴水のようだ。辺り一面細かい雨か霧のようになる。
●秋は二俣川こども自然公園までの銀杏並木
二俣川駅南口を出て、「こども公園通り」と呼ばれているだらだら坂を登って、頂上まで行くと、今度はだらだら坂を下り、こども自然公園までの、二俣川駅から約1㌔の間、坂の頂上付近の商店街筋を除き、一本道の両側に、片側約70本、両方で約140本の銀杏が植えられている。
銀杏は神奈川県の県木である。植樹されて40年以上経つ黄金色に色づいた並木道は素晴しい。
折角なので、こども自然公園に入ってみる。公園の中央には大池と中池がある。2つの池の中間に作曲家中田喜直の作曲した「めだかの学校」の手書き楽譜のまま描かれた碑が設置されている。地元の区内に永年住んでいた中田喜直の功績を讃えて設置されたものだ。
相模鉄道沿線にはまだまだ四季折々の素晴しい景観、施設、催しが沢山あり、さらに訪ねてみたい。

著者

伊藤石魚