「2040年相鉄弥生台」松岡芳孝

2040年秋横浜弥生台。綾瀬みどりは今日も相鉄弥生台から勤務先の恵比寿まで快速特急直通電車で本を読んで通勤。両親は都内まで通うのに弥生台から快速電車に乗り、横浜でJRに乗り換え通っていたらしい。みどりは恵比寿のレストランに勤めていて仕事帰りには新宿に寄ることが多い。たまに別の景色を眺めながら帰宅したい時には、新宿から湘南台経由相鉄線直通電車を使うこともある。週末の楽しみは、弥生台から西谷を通り東急直通線で新横浜から新幹線で京都に旅行することだ。相鉄の新横浜駅は地下深い所にホームがあるが、大きな荷物を抱えていても弥生台から乗り換えなく行けるので京都に行く機会が増えた。最近は、出張で名古屋にある系列のレストランに行くこともあり、大和駅からバスでリニア新幹線駅まで行き名古屋に向かうこともある。近間で過ごす休日は、友達といずみ野線から小田急直通線で江の島に行ったり、二俣川から海老名経由小田急直通線で箱根に出掛けたりしている。湘南台や大和、海老名で小田急と相鉄が繋がり、都内からの旅行者も相鉄を利用し直通で江の島、箱根に行けるようになって便利になった。相鉄の将来の計画はカフェ、展望車、個室のある観光特急の運転で、JRや東急を使い都内から相鉄を使い直通で箱根まで行けるようにすることらしい。みどり家族の住む弥生台は、20年以上前に駅前の再開発でクニニックや100円均一ショップ等が出来て生活に便利になったのだが、昔ながらの個人商店が無くなり田舎の良さが失われ寂しいと言う人もいる。医療の街弥生台のイメージが定着し相鉄各沿線ばかりではなく、JRや東急を使い都内からも患者が来るようになった。また、駅前にマンションが出来て若い家族が子育てに弥生台を選び移り住むようになった。建築して30年以上経つ住戸は建て替えが進み、水素や電気で走る自動運転車も当たり前になり、みどりの家も最近水素で走るフル自動運転の新車を買ったばかりだ。そのお蔭で遠出ばかりでなく、隣駅のいずみ野、緑園都市も自動運転車や相鉄の「近隣乗り放題パス」切符で近隣の街を一体した生活が楽しめている。そういえば相鉄もいずみ野線だけは自動運転が始まって運転手のない電車は前の景色が見えて子供達には人気らしい。いずみ野線には踏切がないから出来るのだと電車の車内広告で読んだことがある。2007年の相鉄100周年記念で作ったマスコットの「そうにゃん」が役目を終えることなく、今では弥生台駅前のそうにゃんミュージアムで相鉄の歴史を展示し来場者に人気だ。みどりも行ったことがあるが猫の形をしたつり革は面白かった。弥生台駅前の相鉄ローゼンはAIを利用した最新技術の導入で納入から陳列、レジなどが全て自動で行われ、弥生台駅周辺5キロまでならドローンでの自動配達もしてくれる。みどりも重い水やトイレットペーパーなどの嵩張る物はドローンで運んで貰っている。弥生台地域の中でも東側の高台環状2号線沿いにはいろいろな店がある。東戸塚の先から環状2号線で立場まで繋がる一体には大手の自動車販売店、自動車用品販売、紳士服の店、コンビニ、相鉄ローゼンの山手台店がある。このローゼンは品数が豊富で二階は日常用品も売っていて便利だ。隣にはアクトって何でも売っているホームセンターがあったけど薬屋になったと母から聞いた。坂を下って行くとスポーツ用品店、ラーメン店、本屋、レストラン等がある。曲がり角のあるラーメン店は割引券をくれるので時々家族で利用する。スポーツ用品店は一階が駐車場で雨の日も濡れずに売り場に行けて便利だ。品物価格も安くて気にいっている。弥生台は、元々、坂に囲まれた地形に宅地が開発されて、洪水の災害を防ぐ為に大きな遊水地が幾つかある。都心では見られない光景だ。この街は子育て世代の家族も多く、愛犬たちが毎日遊水地でボール遊びをする。小さいけれど公園も整備され安心して子育てやペットとの触れ合いが楽しめる。弥生台駅前からは相鉄ローゼンを過ぎると幾つかクリニック、ハンバーガー店、戸塚の有名な花屋の支店などがあり、新鮮な菜・果物を安く買える店もある。、いつも季節の野菜・果物を買っている。冬には焼き芋も美味しい。その先の焼肉店を過ぎると駅前ライフに入っているクリニックの母体となる国際親善病院があり、地域の住人の健康を守ってくれている。小さな街にも関わらず、結構いろいろな店の入れ替えがあるのも特徴で以前は駅前に大手ハンバーガー店も2店あったが、今は1店が撤退している。商売には厳しい街かも知れない。この近辺には複数パン屋やケーキ屋があるが、みどりは美味しいケーキが食べたい時には隣駅緑園都市にあるケーキ屋まで足を運んでいる。品数が豊富でいつも行列が絶えない。併設するパン屋も美味しいと人気だ。また、アクトが閉店してから不便だったが、いずみ野駅前にホームセンターが出来て以来、いずみ野にも行く機会が増えたと母は言っている。相鉄ローゼンの2店舗を起点に、その中間に挟まれたような地域に住宅が立ち並ぶ弥生台は、一言でいれば住宅密集の街である。これから先も大きな変化はないだろう。みどりも将来この街を出て都内に住みたいと考えているが、JRと東急の直通運転で都内のどの場所からも相鉄に繋がり不安はない。相鉄がJR、東急と直通運転してからこの20年で多くの会社も相鉄沿線に移転してきた。大手通販会社と大学病院が弥生台に定着してからは、人の流れが変わり通勤ラッシュに逆の流れが都心から相鉄へと向かうようになった。弥生台に住む人達にも変化があった。2020年頃は少なかった若い独身者が好んで住む街になった。カフェ、イタリアンレストラン、オシャレなブテイックも出店を計画しているらしい。みどりは明日の日曜日もまた濃いブルーカラーの相鉄電車で渋谷に遊びに行こうと思っている。

著者

松岡芳孝