ぼくのあたまよりもとおく、もっととおく。お空の上にはミルクの川があって、まわりにはキラキラとひかるどうぶつや草や花がさいているんだよ。そうパパとママはおはなししてくれた。 それはお空がまっくろになったときにしかみれなくて、いまはずっと見ることができなくなっちゃったみたい。 みるためにはお空につれていってくれるでんしゃにのらないといけないんだって。ぼくはそのおはなしをきいて、そのキラキラひかるどうぶつや草や花をみてみたくなった。 だからまずはそのでんしゃにのるため、ぼくはいつもえきにいくときに「きょうはお空につれていってくれるでんしゃはありますか?あといくつねたあとにきますか?」ってなんどもえきいんさんにはなすけど、みんなみんなわからないんだって。 だからぼくは本にならかいてあるとおもって、いつもお空につれていってくれるでんしゃのことをきいているえきとはちがう”やまとえき”というところからちょっととおい、本がたくさんあるところへママといっしょにつれてきてもらったんだ。 ぼくがおもったとおり、でんしゃの本はいっぱいあった。だけどお空にいくおはなしはあっても、お空につれていってくれるのはあまりなかった。その中の本をみてもパパとママがおはなししてくれたものとちがうものしかなかった。 きっと本をかいている人もみたことがない人がたくさんいるんだとおもう。パパとママでさえぼくよりも長く長くまいにちをすごしているのに見たことがないんだもの。ずっとずっとぼくが生まれるまえのはなしなのかもしれない。 しょんぼりしながら本がたくさんあるところを出るときにはもうお空はオレンジいろをしていた。 「かえろうか。きっとお空につれていってくれるでんしゃの本、ほかの子がみていたのかもしれないね。またきてみようね。」 「うん、そうだねママ。ぼくおなかすいちゃった。」 「かえったらすぐごはんにしようね。」 しょんぼりしていたけどママのつくったりょうりがたべられるとおもうと、ちょっとだけげんきがでた。 そのとき、ママといっしょにあるいているといっぴきのしろいねこさんがぼくのところにきた。 「わぁっ!かわいいねこさん、こんばんは。」 ママにもみてもらおうとおもったとたん、 「こんばんわにゃー。」 と、ママじゃなくてぼくのまえにいるねこがしゃべってへんじをした。 「ねこさんぼくとはなせるの!?ぼくはじめてしゃべるねこにあったよ!」 「にゃにゃ?びっくりしないのかにゃ?ふしぎだにゃ!」 「だってぼくアニメでしかしゃべるねこさんみたことないんだ!だからびっくりするよりもうれしいんだ!」 「アニメにゃー…どおりでびっくりしないはずだにゃー。つまんないにゃ。」 ねこさんがどこかへいってしまいそうになるまえに、ぼくはねこさんに 「ねこさんはお空につれていってくれるでんしゃをみたことある?ぼくキラキラひかるどうぶつや草や花がみたくてそのでんしゃにのりたいの!いろんなところをおさんぽしているねこさんなら、きみじゃないみたことのあるねこさんもいるかなぁ?」 というと、びっくりしたかおをして 「にゃにゃっ!こっちがびっくりすることになるとはおもわなかったにゃ。ちょうどきょうちかくにくるのにゃ。」 「ちかくに…くる…?」 「そのでんしゃにみれるどころかのれるかもしれにゃいにゃ!こっちにゃ。」 ぼくがねこさんのことばにふしぎがっていると、ねこさんはそういってはしりだしていった。 「わっ!ねこさんまってよー!」 ねこさんのせなかを目でみえなくならないようにおいかけながら、ぼくもはしりだした。 「ここですにゃ。」 「ね…ねこさんはやいよう…もうすこしゆっくりはしってほしかったよう。」 ゼーゼーハァハァと、くるしみながらはしったばしょは、さっきまでいた本がたくさんあるところのひろいお外だった。すでにもうお空はまっくろになっていて、みちはひかりであかるくなっていた。 「ここ…ぼくがさっきいたところだよ?ここにせんろはないよ?」 「せんろはここにはにゃいけど、ここにお空につれていってくれるでんしゃがくるんだにゃ!なかなかお目にかかれにゃいから、きみはとてもラッキーだにゃ!」 「なんでねこさんはしっていたの?」 ぼくがねこさんにきいたとき、まわりからちがうねこさんたちがニャーニャーとなきながら、たくさんたくさん出てきた。 「それはにゃ…」 ぼくがおいかけていたしろいねこさんがこたえようとしているときに、とおくからふえのような音をならして、お空のようにまっくろいでんしゃがちかづいてきていた。 「ワタシがそのしゃしょうさんだからにゃ!」 ぼくがよくのっているでんしゃとはちがっていて、目のまえで止まったでんしゃはそれよりも小さいとおもった。ドアがひらくと、たくさんたくさん出てきたねこさんがいっぱいいっぱいのっていく。 「す…すごい…!これがパパとママがおはなししてくれたでんしゃなんだ…!ねこさんがつれていってくれるでんしゃだったんだ…!」 ぼくは目が小さくなるほどびっくりした。だってずっとずっとのりたかったでんしゃだったから。  「ワタシがきみとさっきはなしたときよりもびっくりするのはしかたないにゃー。」 うんうんとしろいねこのしゃしょうさんはそういった。 「…ぼく、これにのっていいの?ねこさんだけのでんしゃじゃないよね?お空の上のミルクの川にキラキラひかるどうぶつや草や花がさいているところがみれるんだよね…?」 すこしビクビクしながらぼくはいった。ぼくのそのかおをおもしろがってしゃしょうさんがわらう。 「お空の上には赤い目をしたさそりや、あおい目をした子犬がいるんだにゃ!キラキラひかってキレイにゃよ。」 「お空の上はとてもキレイにゃけど、上にいくと下にみえるおほしさまもキレイなんだにゃ~。」 「ミルクの川にいるおさかなはおいしいんだにゃ~。早くモグモグしたいにゃ~。」 たくさんのねこさんたちがお空の上のおはなしをしてくれている。みんなみんな、ぼくといっしょでお空の上にあるところへいきたがっていたんだ。 「にゃにゃ~。こちらはお空の上へといくことのできるでんしゃ、ぎんがてつどうにゃ!ここシリウスえきをでたあとはプロキオンえき、スピカえきとじゅんばんにまわっていくにゃー!」 しゃしょうさんがそういうと、ぼくのほうへきてくれてふくをひっぱいてくれた。ぼくはのっているねこたちの中に入るようにでんしゃにのった。 「ようこそ、きょうのとくべつなおきゃくさま。キラキラひかるお空をどうぞおたのしみくださいませにゃ。」 お空の上につれていってくれるでんしゃはそのままお空の上をめざしてはしりだした。でんしゃがはしりだしたしゅんかん、キラキラとひかるとうめいなせんろが出てきて、その上をこのでんしゃははしっている。これから…これからもっとキラキラしたものが見れるとおもうと、とてもぼくはわくわくした。 「お空の上……とても……キレイ……むにゃ……。」 「ごはんもたべないでねちゃったけど、どんなたのしいゆめをみているのかしら。」 どうやらぼくはママといっしょにかえっているときに、きづかないでどこかでねむってしまったみたい。 ぼくはまだゆめのなかでキラキラとひかるものをみていた。 「おまえさんもおなじゆめをみているのかな?フフッ。」 ぼくといっしょにねているねこさんにママははなしていたけどへんじはなかった。お空の上へいって、いろんなキラキラしてキレイなものをうんとみたら、そのことをいっぱいいっぱい、ママとパパにはなすんだ。きっとよろこんでくれるよね。