遊歩道の
手摺にくもの糸
西日を浴びて
キラキラキラ
有るか無しかの風を受け
ときおり揺れる
ゆらゆらゆら
和泉橋
親水公園「地蔵原の水辺」
緑の芝生の中を子供達の遊び用の水が流れている。水に足を浸した女の子が、数メートル離れた友達に水鉄砲を放っている。私などが遊んだ竹筒の形をしている。水鉄砲を撃つ子も狙われている子もキャーキャー歓声をあげている。水鉄砲の水は勢いよく宙を飛ぶが命中はしない。これは双方の想定内なのだろう。
一木の中の幾枚早紅葉
落葉が遊歩道に散らばっている。きれいに
掃かれるもよし。自然のままもよし。
靴に踏む落葉かそけき音たてる
曙橋
いずみ中央駅を出ると、最初に出合うこの橋を左手に見ながら歩く。
穂を出したばかりの薄の一団は、脇目もふらずスマートに立っている。数歩先の一団は熟女あるいは老女の域だろうか。穂をパーッと開ききって、小さな風にも大仰に身を振っている。「カッコつける時期は過ぎたわ~」「若い時は結構気取ってたわ~」と言いながら笑い転げているようだ。
川の中には巨岩がごろごろ――芸術だろうか。流れを緩めるためだろうか。瀬のところでは音をたて白泡たてて流れて行く。コンクリートの川岸にほんの少しの土を見つけたのか、猫じゃらしが右を向いたり左を向いたり、流れを見ている。
中村橋
秋の日はわが影映す対岸にやあと手を上げ
二人で歩く
遊歩道には緑の途切れることがない。けやき。紫式部は細かな紫の実を付けている。さるすべりだろうか、実が生っている。さるすべりに実は生るのだろうか。茶の花だろうか、白い花が咲いている。疎い私には名前がわからない。
石橋
泉区役所から約0・8キロの道標。
桜川公園
子供達の声。ブランコに乗る少女三人の声。
川の中の
巨岩に小さな
柳の木
どこかの家元の生花のよう
ああ
それにも勝る
自然の美しさ
一本の柳のトンネル見上げては歩く吾をみ
な追い越して行く
流れの失せて秋草川の幅
コスモスの花。側にはナント百合が一輪咲いている。他の百合は種を作ろうとしている。
川へ下りる階段がある。流れがゆるやかなのだろう。
御蔵橋
泉区役所から約1・2キロの道標。
にごりたる川に大きな鯉九匹連みては離れ はなれてはつるむ
われほどにのろのろ歩く人在らず見慣れた
景色かウォーキングか
関島橋
泉区役所から約1・6キロの道標。
和泉川親水広場
三羽の真鴨
すいすい
泳いでる
足をかいかい動かして
グウェ~グウェ~は
真鴨の声?
中州の
草の中
いっとき
羽根を広げてバタバタバタ
やっぱり真鴨かな
叢の四羽の真鴨
近付けば
二羽はしずしず水に入り
二羽は臆せず羽繕い
安心したのか
一羽が水から上がってきた
カバンの中の
パンをあげようか
余計なことは
しないでおこう
彼らは沈黙
邪魔しちゃいけない
こっちも沈黙・静止
足で水
掻いて前進!
止めれば
流れに乗って
つーっとバック!
地下鉄の橋梁を潜る。ここでは地上を走っ
ている横浜市営地下鉄ブルーライン。
草木橋
萩の花見つけて過ぎる草木橋
川の手摺に小学生のポスターが貼ってある。
「自然を大切に」「きれいな川にしよう」など。下飯田駅まで300メートルの標識。ところどころに丸い石の椅子がある。文字に表すにはむずかしい和泉川の流れる水の音。「春の小川」の歌が浮かぶ。
一本の垂れ下がったくもの糸に、一枚の枯れ葉が風もないのにくるくるまわっている。
隣りでは七匹のくもが木と木の間に糸を張っている。
四ツ谷橋
泉区役所から約2・1キロの道標。
小高い畑に案山子が立っている。畑には里芋の大きな葉。さつまいもの葉。ビニールを
被っているのは、これからの冬菜だろうか。
川に迫り出す柿の木にオレンジ色の実が重たそうに垂れている。傘の柄に柿の木の枝を
引き寄せている初老の男性。少年時代の気分だろうか。
今日の散歩脳トレは、ここまでにしよう。
菜園の案山子に手を振りユーターン
和泉川はさらに流れて行く。「もっとおいでよ!」と言いながら。